2017年1月21日吹上北中学校「冬の天体観望会」

吹上北中学校で、冬の天体観望会が開催され、いちばんぼしとしてお手伝いをさせていただきました。校長先生もご挨拶の中で触れられていましたが、こちらの中学校の観望会は、すっかり地域の方にも定着し、寒い夜にもかかわらず、大勢の参加者がありました。

今夜は冬らしい透明度の高い夜空が広がり、吹上北中学校自慢の20cm屈折望遠鏡も大活躍です。望遠鏡で撮影した画像は別のページに掲載していますので、ぜひご覧になってください。

日没後、西の空に輝く金星が満ち欠けするなんて、普段あまり気にしていないことに気づかされたとおっしゃる参加者の方もいらっしゃいました。この日の金星は東方最大離角を少し過ぎたところで、望遠鏡の視野の中ではまるで半月のような姿を見せていました。この後、内合に向けて、視直径を大きくしながら、三日月のような細い姿に変わってきます。

オリオン座の大星雲もよく見えていました。肉眼ではトラペジウムの周りに淡い、綿毛のような、雲のようなものがみえますが、デジカメ等で捉えると、白鳥が羽を広げているような雄大な姿を確認することができます。こちらも別ページの写真をご覧ください。

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(左)校長先生から開会のご挨拶          (右)PCを用いた説明(本日の見どころを紹介)

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吹上北中学校自慢の天体ドーム、屋上での観望の様子

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(左)宙ガールの皆さんのスリーショット       (右)恒例のメンバー記念写真

2017年1月7日駅前観望会

「第50回鴻巣駅前観望会」

2017年最初の駅前観望会です。
寒い冬の夜でしたが、多くの皆さんにお立ち寄りいただきました。
また、今夜は記念すべき50回目の観望会でもありました。今後とも皆様に愛されるボランティア・サークルであり続けたいと思います。

さて、いつもの駅前スペースでの開催でしたが、最近どうもこのあたりの人工光が増加の一途を辿っています。住民の利便性、防犯のため、照度が上げるのは理解できます。ただ、星を見る者にとってはなかなか厳しいコンディションです。「いちばんぼし」は多くの皆さんに星空の素晴らしさを伝え、ともに感じていただくため、あえてこの場所を選んでいるのですが、多くの人工光のために夜空を解説するのが難しくなっています。
その一方で、応援してくださっている方も増えており、「鴻巣駅前に行けば『いちばんぼし』の観望会に遭遇できる」という期待をいただいているのも事実です。本当にうれしいことです。そうした方が一人でもいる限り、私たちはこの場所を離れることはないと思いますが、眩いばかりの人工光とどう付き合っていくか工夫をしていく必要がありそうですね(笑)

今宵は、西の空に-4等級の明るさで輝く「宵の明星」のほか、沈みゆく火星、上弦を少し過ぎた月すばる(M45)、オリオン座大星雲(M42) などを中心にご案内をいたしました。

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アイピースを変更したらコリメート撮影がしやすくなりました。今夜も望遠鏡1台の運用でした。

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(左)寒いところお立ち寄りいただきありがとうございます。(右)双眼鏡でもよく見えるんです。

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恒例のメンバー撮影(Yさんゴメンね。可愛かったからこちらにしたよ(笑))

 

※ミニ解説 「金星にも満ち欠けがあるって本当?」

金星を望遠鏡でのぞいてみると、月のように欠けて見えることに気付きます。今回の観望会では、ちょう
ど半月状に見えました。今後、日をおいて観察を続けていくと、欠け方が変わっていく様子が分かります。
金星のように地球よりも内側をまわっている惑星(「内惑星」と言います)は、その位置によって、地球
に夜側を見せたり昼側を見せたりします。望遠鏡でのぞいたときに、欠けて見えるところが金星の夜、光
って見えるところが昼の部分です。これは月の満ち欠けと同じ理屈です。
金星が太陽をはさんで地球の反対側にきたとき(「外合」と言います)、地球からは金星の昼の部分しか
見えないので、金星は満月のように見えます。また、金星が太陽からもっとも離れて見える最大離角のと
きは、昼側と夜側がちょうど半分ずつ見えますから、半月状に見えます。金星が地球と太陽の間にきたと
き(「内合」と言います)は夜側だけになり、新月と同じく見ることはできなくなります。
内惑星である水星、金星の場合、地球との間の距離は大きく変化します。そのために、水星、金星では満
ち欠けとともに見かけの大きさも大きく変化して見えます。内合に近いほど、つまり欠けているときほど
地球に近くなり、大きく見えることになります。

金星の満ち欠けと見かけの大きさの変化

(上の画像は国立天文台のサイト http://www.nao.ac.jp/ から転載)

それと今夜は嬉しいことがありました。会いたかった友との再会です。
いちばんぼしの仲間の友情はこれまでも、これからも永遠です。

2016年12月10日駅前観望会

「第49回鴻巣駅前観望会」

寒い冬の夜です。吹きすさぶ西風が少しだけ弱くなりましたが、やはり寒い。
透明度こそ高い空でしたが、上空の気流は乱れ、プールの底から空を見上げているような師走の夜空、12月駅前観望会を実施しました。

ところで、駅前観望会は、本日で13回連続で開催できています。平成28年は 曇天で順延したことこそありましたが、毎月欠かさずに開催できました。応援してくださった皆さんとお天気に感謝です。

数日後に満月を迎える月が眩しく、西の空にも-4等級の明るさで宵の明星のほかには、明るいはずの一等星もよく見えないほどでした。そうした駅前の夜空でしたが、お立ち寄りいただいた皆さんに師走の星空を見ていただきました。月、沈みゆく火星、すばる(M45)、オリオン座大星雲(M42)などを中心にご案内をいたしました。

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望遠鏡1台と双眼鏡1台でおもてなし。双眼鏡も星見の重要アイテムです。

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寒い夜でしたが、お買い物帰りに多くの方にお立ち寄りいただきました。感謝です。

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今夜の担当は2名でした。

 

※ミニ解説 「ベツレヘムの星の正体は?」

ベツレヘムの星とは、クリスマスツリーのてっぺんに飾る星としてご存じではないでしょうか。これはイエス・キリストが誕生した時に、夜空に眩しいくらいに輝き、救世主の誕生を知らせたとされる星なのですが、どのような星だったかは様々な説があります。天文現象とする説もありますが、その中には、①惑星、②変光星、③超新星爆発などが有名です。

惑星の運動法則を見つけたケプラーは、ベツレヘムの星について、木星と土星の接近説を取り上げています。ベツレヘム(現在のパレスティナ/イスラエル地方)では、木星が幸福の星、土星がこの地の星と考えられており、符合します。地球との位置関係で同じ年に3回接近と離合を繰り返す「3連会合」という現象が約200年に1度起こるのですが、イエス誕生の歴史とは合わないとも言われています。

変光星は、ファブリチウスが17世紀に発見した天体ですが、現在では、かなり多くの星が変光星であることが分かっています。当時は気づかれていなかった変光星の一つであるという可能性も指摘されていますが、明るさの変化が激しいくじら座の変光星「ミラ」などは、突然輝きを増したベツレヘムの星だという主張があります。

超新星は、星全体が爆発を起こす現象です。これも激しい明るさの変化を伴います。しばらく見えて、見えなくなることから、眩しいくらいに輝くイメージは、それに近いのかもしれませんが、科学的な裏付けとなる証拠がありません。

クリスマスツリーを飾り付けるとき、ベツレヘムの星にまつわるエピソードを思い出し、イエス誕生の夜を想像してみてはいかがでしょう。星と神話、宗教など、星々は人々の心の中に神秘やスピリチュアルな感性を与える魅力を持っています。

We wish your Merry Christmas and a happy new year !

2016年11月26日天文教室

前回の曇天だった8月の天文教室のリベンジ、とばかりに秋も深まった霜月11月、
今回の天文教室は、「二重星と二重星団」というテーマで実施しました。

多くの皆さんにご参加いただきましたが、残念なことに、お天気はまたしても生憎の曇り空。
お手伝いをさせていただいている我々いちばんぼしのメンバーも、用意してきた望遠鏡をセットすることを早々と諦めて曇天用プログラムに切り替えることに。
毎回ご説明させていただいていますが、いくら児童センターの15センチ屈折望遠鏡をもってしても、厚い雲越しに星を見ることはできません。天文台の望遠鏡を使っての企画はこのところ天候に恵まれていません。

今宵も天文教室の講師の解説に加え、いちばんぼしメンバーの星空解説など、通常のプラネタリウムの数倍の盛りだくさんのプログラムでお楽しみいただきました。そして、最後には児童センター自慢の天文台の見学を行って終了となりました。

インドアの写真ばかりですが、当日の様子をご紹介します。

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(左)秋の星座物語は豪華オールスターキャストです(笑) (右)たくさんの親子連れが参加してくださいました。

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児童センターの投映機での星空解説。最新鋭機ほどの多彩さはありませんが、美しい星空を描きます。

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天文教室講師の楽しくもアカデミックな解説。中高生の理科(理科第2分野、地学の天文分野)にも役立ちますよ。

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曇天プログラムでしたが、最後には天文台を見学していただきました。

 

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恒例のメンバー写真。我らが minolta MS-10 とともに。

2016年11月12日駅前観望会

「第48回鴻巣駅前観望会」

小春日和でこの時期にしては暖かい夜、11月駅前観望会を実施しました。
2日後に満月(スーパームーン※)を迎える月、西の空に-4等級の明るさで輝く金星(宵の明星)や、日没直後の火星、まだ姿を残す白鳥座のアルビレオ(二重星)、アンドロメダ銀河などをご案内しました。※下のミニ解説参照

アンドロメダ銀河は駅前の明るい場所にもかかわらず、110mmの屈折望遠鏡でもその姿を辛うじてとらえることができました。
星雲や銀河は写真画像のイメージが先行しているためか、皆さんの中には「望遠鏡でも見るのは困難」と思っている方もいらっしゃいますが、明るい星雲・星団なら小望遠鏡でも十分よく見ることができます。ただし、NASAやハッブル望遠鏡のような画像を期待している方はガッカリしてしまうかもしれません。地上から深宇宙(ディープスペース)を観測するのはなかなか難しいことなんです。

今夜は暖かい夜だったこともあり、多くの皆さんに来ていただくことができましたが、相変わらず望遠鏡メーカーの販促イベントと間違えている方もいて、いちばんぼしの認知度をもっと高める必要があると感じました。

最近、「鴻巣市」は、TX系の「アド街ック天国(10月1日放送)」や「歴史の旅歩き旅(10月13日放送)」で相次いで紹介されていますが、いつか僕らも、、、(なんちゃって)

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いちばんぼしの名刺をお渡しした方、このサイトをご覧いただいているでしょうか?

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ビルの窓に映り込む月

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DSC04128シュミットカセグレン式(オレンジ色の鏡筒)はコンパクトながら迫力満点の月を見せます。

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最近いちばんぼしの観測ガジェットとして増殖中の「双眼鏡」
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いつものメンバー写真。

11月14日は「スーパームーン」(ミニ解説)

月が地球を周回する軌道は、楕円のカタチをしています。
そのため、月は地球に近づいたり遠ざかったりしながら公転しています。
月が一番地球に近づくときは約36万km、一番遠ざかるときは約41万kmです。
今回の月と地球の距離は35万6509kmとなり、ここまで距離が近くなるのは1948年1月26日以来となることから、68年ぶりのこととなります。

ところで、最近は「スーパームーン」として報じられることも多くなりましたが、これは天文学の術語ではなく、占星術師のRichard Nolleが1979年に定義したものだと言われています。
月の引力が潮の満ち引き(潮汐)を生んだりしていることを考えると、月が近づくこの日は、地球に何らかの影響を大きく与える日とされていますが、そのことが、地震が起きやすい、火山活動が活発になる、人の精神に影響を与える、願いが叶う、などの俗説が生まれた遠因であると言われています。これらはまことしやか語られることがありますが、エビデンス(科学的根拠)があるわけでははありません。

11月14日の夜は、月か地球に最も近づくのが午後8時21分で、その月が満月になるのが午後10時52分です。この時間帯が「スーパームーン」ということになりますが、今回のスーパームーンは他の満月と比べ約30%明るく、14%ほど大きく見えます。

満月の大きさ比べ

(国立天文台のサイト http://www.nao.ac.jp/ から転載)

2016年10月15日駅前観望会

「第47回鴻巣駅前観望会」

今夜はよく晴れました。久しぶりに開催にやきもきせずに済みました。
あっという間に火が短くなり、あっという間に涼しくなり、秋本番を迎えた感があります。
今夜はほぼ満月(月齢14.1)で、来月のスーパームーン(視直径が今年最大となる満月)にも匹敵する大きさの月を観ていただきました。

他にも日没直後の土星、火星、衝を迎える天王星を観たり、二重星あれこれ(はくちょう座アルビレオ、アンドロメ ダ座アルマク、やぎ座βダビーなど)、いつになく雲一つない夜空をご案内することができました。
ただ気になったのは観望スペースの広場の灯り。
写真でもお分かりかと思いますが、ビルの照明が新調されたようで かなり明るいのです。下の写真も前回より露出が2段階くらい明るい設定で撮れてしまいました。
街の景観や防犯、都市生活に必要な灯りたどは理解しますが、星見ストとしては、もう少し、照度を下げてもらえるといいですね。

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コリメート撮影による月

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(左)ナトリウム灯に負けじと輝く月 (右)たくさんの親子連れで賑わいました

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小さな宙ガールがたくさん
dsc03735望遠鏡、双眼鏡など、多彩な天文ガジェット楽しんでいただいています

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(左・中)子供たちの夢に応えてあげたくなります (右)スマホでの撮影はいつも人気です

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いつものメンバー写真です。明るすぎる広場にて(笑)

衝を迎える天王星について(ミニ解説)

天王星は太陽に一番近い水星から順に数えて7番目に位置する惑星です。太陽系では土星に次いで3番目に大きな惑星です。天王星の大きな特徴に、公転軸に対して自転軸が98度傾いてることがあげられます。コマ(独楽)に例えると、他の惑星が南北に回転軸があるのに対し、天王星だけが自転軸が横だおしになっているのです。なぜ回転軸が大きく傾いているかの詳細は分かっていませんが、おそらく過去に大きな天体が天王星に衝突し、その衝撃で自転軸が傾いてしまったのではないかと考えられています。

また、天王星には環があることが分かっていますが、初めて環の存在が明らかになったのは1977年のことで、天王星による恒星食が観測されたときのことです。このとき、天王星に隠される恒星が、天王星の本体以外にも何かに遮られて減光する様子が観測され、その後の分析から、この減光が環によるものだと明らかになったのです。さらにそのことは、惑星探査機ヴォイジャー2号の直接観測で確かめられました。
明るさは6等級ほどなので、空の暗い所でないと肉眼では見えません。小望遠鏡では青白い小さな像でしかありませんが、何というか、他の恒星とは違う立体的な像に感じます(気のせいかも(笑))。

ハッブル宇宙望遠鏡による天王星 (c) NASA

2016年9月10日駅前観望会

「第46回鴻巣駅前観望会」

今夜の駅前観望会も開催が危ぶまれました。予報は夜半に向かって下り坂で、明日はさらに悪い予報でした。開催のための天候判断は毎回ハラハラドキドキですが、今日の日没直後は雲量が少なく、上弦を過ぎた月もしっかり顔を覗かせていましたので、途中打ち切りも視野に入れつつの開催となりました。

来週の「中秋の名月」を前に、まだ半月を過ぎたばかりの月を観ていただきましたが、灰色の雲が西から広がる中、急いで土星・火星を見ていただくこともできました。観望の好機だった明るい外惑星もそろそろ見納めです。惑星ファンのみなさん、また来年の春以降にご案内いたしますので、そのときまでしばしのお別れです。

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(左)試合帰りの学生さんたちが大勢参加 (中・右)19時くらいまでは火星や土星も観ることもできました

(左)いつものメンバー写真です。広場の一本樹とともに (右)出典magazine.search.biglobe.ne.jp

ところで、来週15日は「中秋の名月」です。しかし、この日の月齢は13.7 であり、満月ではありません。十五夜とは、旧暦の8月15日(秋の真ん中の日)に見る月に由来しているのをご存知でしょうか。

日本で明治5年まで使用されていた暦は「太陰暦(正確には太陰太陽暦)」 といって、月の朔望周期(満ち欠け)をベースにしたものでした。太陰暦の1年は354日(平均朔望周期29.5日×12=354日)となり、太陽年に比べ11日ほど短く、その差は3年でほぼ1か月に達します。そのため、3年に一度、閏月(うるうづき)を設け、太陽年との誤差を補正していました。これが現在の暦(太陽暦<グレゴリオ歴>)とのズレとなります。
七夕が梅雨の真っ只中にあるのも旧暦の行事を、現在の暦に当てはめているからなのです。旧暦で云ういうところの十五夜は満月のことを指しますが、現在の暦との間にある微妙なズレのために、必ずしも満月とはならないのです。